Tag: ナカムラマユ

Y字路

瞼に焼き付くほど 赤々しい赤色 グレーも真ん中もない Y字路で立ち止まる僕ら 遠く空の雷鳴に 夏を感じてみたり 映画にもならぬような 平凡でありふれた僕ら んんあああああ 涙が乾いたその頬に宛てがった 僕の両手は君のもの この夏が背を向けてゆくまで 選べないというなら この際選ばないで アクセルを踏んでしまおうか 身体が粉々になったって それが幸せなら んんあああああ 寄り添い合って ただ前をしっかりと見据える この眼差しも君のもの ふたりが土へと還る日まで この夏が背を向けてゆくまで

全て終わったその後で 去ってゆく背中に 裾に隠し持ったトカレフを 引き抜く勇気もないまま 潮騒が耳を占めて囁いた いつか何処かで読んだように 焼かねばならぬと ガソリンをかけて 思い出の品をも全て 燃やせば 煙になり あなたの目にも恐らく留まるでしょう 全て燃やしたその後で 気付いたのだけれど 物は燃やせば済むものの この記憶はどうすべきなの? 潮騒が三度 後ろ髪を引くけど 能天気なラジオは小さく絞って! ガソリンを被って この身を焼き尽くせば 私は煙になる! 自由にあなたに会いに行けるでしょう 私は煙になる!