Tag: ヒグチアイ

わがまま

どんなウソをつけば君を 部屋に連れ込めるかしら 電気切れたとか 熱が出たとか よくある理由じゃバレるかしら こんなことならもっともっと 弱そうなふりしとけばよかったなあ わたしはわたしのまま愛されたい それってわがままなことかな 変えたくないけど愛されたい 誰でもなく君だけに ああ いっそ もう いっそ 誰かのものになってよ 手の届かないところに 行っちゃって 隙を見せてバカなフリで 君が振り向くとしたら 好きになったのは わたしなのにちょっと 嫌いになるかもしれないな こんなことならもっともっと 考える前に動けばよかったなあ ...

最後にひとつ

大掃除で見つけた段ボール ガムテープを剥がす よく着てたコートのポケットの中 古いレシート タイムカプセル わたしは飲まない缶ビール わたしは吸わないセブンスター あなたに捧げたもの全部 返して欲しいと泣いていた影はもう消えそうだ 最後にひとつ なんでもないなにものでもないわたしを受け入れてくれたのは その瞳で録画し続けてくれたのはあなた 彼女と呼んで 好きだと言って 名前を囁いてくれたのは あなた以外誰もいない さらば もう恨んでないよ どうかおしあわせに 「これからの人生誰のことも 愛さないと思う」と フラれた日にあなたに伝えたこと 忘れてほしい 勝手だけど ...

このホシよ

髪型を褒められただけで わたし宙にも浮けそうよ 目と目が合っただけで わたし宙にも浮けそうよ 恋をしている わたし あなたに恋をしている その事実で死ぬまで 生きていけそうよ お願い お願い このホシよ滅んで 呼び捨てでわたしを呼んで ほかを苗字で呼ぶあなた 手を振って別れたあとに 一度振り向いてくれるあなた 恋は止まない わたし あなたに恋が止まらない このままだともっと欲しがっちゃいそうよ だから お願い このホシよ滅んで 恋をしている ...

mmm

昼過ぎに鳴るLINE 感染者は 最初は見ていた会見 同じこと繰り返す やめちゃった総理の 体調は心配だけど やめらんない わたしたちは やめらんない 日本人を 友だちに子どもが 生まれた おめでとう 死にたいと言ってたあの子が今 誰かのために生きている じいちゃんっ子の友だちは 最期に立ち会えなかった 今は幽霊を信じてる 悲しむあの子を見ているはずだよ ライブ ライフ 生きていくんだ ライブ ライフ 背負ったままで あいう じゃなく mmm ...

大航海

このままでいいのかい 人生は一度きり 今やりたいことが 明日やりたいとは限らない このままでいいのかい 穏やかな海をゆく 遠くの島も見えてる それはね人生の果てなんだよ 衝動よ 感動よ わたしを置いていかないで 太陽よ 台風よ わたしを見離さないで からっからに乾いて しょっぱくても飲んで 堪えきれなくて涙流して 今 綺麗になった爪と顔で 澄ました笑顔がサマになる 何様なんだ 無様じゃないか 成せないことに慣れてしまうなよ このままでいいのかい ...

いってらっしゃい

ずっと探してた 捧げた心臓の在処 本当の想いを教えて 夢物語でいいから 最後になにがしたい?どこに行きたい? わたしはね 帰りたいよ 一緒の家に帰ろうよ もしも明日がくるのなら あなたと花を育てたい もしも明日がくるのなら あなたと愛を語りたい 走って 笑って 転んで 迷って 庇って 抱いて また会えるよね おやすみ ずっと気付いてた 強がりだらけのあなたが たどり着いた答えの先に 大人になっていたこと 掴んだ手を振り払って 強さと孤独を手に取った 大きく羽ばたき空の向こう やっと今手が届いた わたしの胸に耳を当てて ...

誰でもない街

今夜も不確かな記念日 欲が渦巻く最果てタウン 深夜帯 無数のサイレン ゴールデンタイム 始めよう グッバイ グッナイ 焦燥 競争 ああ時間が止まれば あなたはわたしを見つけるかしら ああ時間が止まれば 許せないことも愛せるかしら もうどうにでもなればいい もう明日のことは知らない 酒をくれよ 失せろ 冷蔵庫の中には 凶器が冷えているのさ 開かないように 鍵を隠したロックグラス グッバイ ...

この退屈な日々を

愛してる、の言葉よりも 愛してる、が伝えられる 言葉はあるのかな 大切にすればするほど 離れてく、この気持ちに 終わりはあるのかな よかったことばかり思い出して あなたとの日々を進めてゆく その日々のことを愛と呼ぶのかな 誰も知らないなら決めていいよね バカじゃないけどバカしたい ただそばにいれば 満たされるみたいに 続きたい、永遠になりたい 目を見て話せば 知りすぎてしまう まだあなたを探したい 本当を伝えたいのに 本当のことを言うと ウソみたいと笑う ...

自販機の恋

僕は君がいい だから僕を選んでくれませんか? そんな優しい顔で 見つめてくるってことは ちょっとぐらい ちょっとぐらい 自惚れてもいい? またご飯いこうねって 誘ってくれたってことは ちょっとぐらい ちょっとぐらい 自惚れてもいい? いいよね 自動販売機の前で 始まる恋の行方は 右か左かわからない でも君の心確かめたい つめたいのとあったかいの 甘いのと甘くないの どっちがいい? ...

恋の色

叶わない恋の色が わたしを染めてしまったの 赤い頬 銀の涙 もう笑われたくないの 恋してるだけなのに恋されてるあの子が 羨ましい 叶わない恋の色が わたしを染めてしまったの 少しだけ ほんの少しだけど 強くなれた気がするの 強くなれた気がするの 灰色の 雨に濡れた 洗濯物はほっておけば いつか乾くから今日は眠ろう 恋させたいなら恋ばっかしてちゃだめ ドラマのセリフ 思い出す わたし ホントはなんにも捨てたくない 恋も夢も全て 叶わない恋の色が わたしを染めてしまったの ...

しみ

シャワー浴びながら思い出した後悔の夜 流しても擦っても落ちないシミは 鏡の中 頬に刻まれる どうにかしなきゃともがいたところで あの日の罪を消すことは無理だ 期待しないで 背中丸めて 日陰を生きていこう そんなもんだろう そんなもんだろう 人生なんてそんなもんだろう って言うほど 思うほど そんなわけがないと思う いつだって素顔でいたい 恥ずかしくも恥じていたい 愛せなくてもいいの 愛されていたから 諦めに似たような ああ これがわたし わたしだけが悪いのと 逃げたくなる日を あなただけが悪いのと 責めたくなる日を 重ねていくの 平気なフリして ...

ランチタイムラバー

つまり これは恋だってこと? 気付いてからは節約をやめたんだ ふわり 春風が吹いたから いつもの店に吸い込まれていくのよ 自動ドアの向こうにあなたを見つける その前で透けてるわたしは服を撫でる 目立ちたいわけじゃない 見てほしいわけじゃない だって あなたの顔が あなたの髪が あなたの指が 動くのを見逃したくない 今だけなんだ 限られてんだ 美味しそうに食べるあなたが好き 名前も知らない なにも知らない ランチタイムラバー いつも 一人で来ているのに 今日は楽しそうに友だちと会話 ...

劇場

ステージの上 一本のスポットライトがさす 客席には二人の男と女 わたしは泣いた ありったけの力を込めて それだけで客席は埋まっていく ステージの上 一本のスポットライトがさす 客席から立ち去る人もいたけど それ以上に座る人が増えていた わたしのことを見て欲しくなった もっと もう会えない人よ もう会わないと決めた人よ あなたの劇場でしあわせでいて 目に入ったもの全てが わたしの身体の一部になるの 例外はなく あなたも ステージの上 一本のスポットライトがさす 踊る私に拍手は鳴り止まない 生きる意味は見つけたんだ 見つけたけれど これがなければ生きる意味はないとも思った ステージの上 一本のスポットライトがさす 無表情で立ち去る人が増えた ...

ハッピーバースデー

もう好きじゃないこと知ってるよ 甘い期待するほどバカじゃない でも 一年に一度 誕生日ぐらいは 連絡してもいいよね きみんちにいる猫の名前はぼくがつけて ぼくんちにいるカメの名前はきみがつけた 呼ぶたびに思い出すより 呼ぶたびに薄れていく 記憶はいつも 口から溢れる おめでとう きみが産まれたから こんなに苦しくて さみしい夜があること知ったんだ でもおめでとう きみが産まれたから 乗り越えられる強さがぼくにあること知れたんだ 来年こそ祝わずに過ぎればいいな ハッピーバースデー もう好きじゃないこと知ってるよ 未練なんてほろ苦いものはない 昨日じゃなく 明日じゃない 誕生日になると きみを 思い出すんだ 意味深に鳴る電話の音 嫌だったから 夜中に鳴らすなんてことはできないんだ ...

悪い女

「二回ぐらいしただけで 彼女ヅラしないで」 そう言い捨て去った最悪な人 あなたは今でも最愛の人 当たり前の幸せ 脱ぎ捨て飛び込んだ 結婚するならあの人だけど 隣にいたいのはただあなただった たくさん会えなきゃやだよ 女の子と遊ばないでね なんて言える権利 一つもないのに 夜をまたいで 朝を迎えた 裏切りでも 遊びでもない わたしがきっと だめだったんだろう そう思えば 楽になるから あなたは悪くない わたしが悪い 悪い 悪い女 思い出せる思い出 何周したんだろう 少ないくせに色濃いもんだから ...

サボテン

持っていくもの 捨てていくもの 2人で買ったもの 捨てていいもの 引っ越し先の 部屋は狭いから ほんとに大事なものだけ抱えていくよ これぐらい1人でできる 最後の日まで強がってるの 元気でねときみは泣いた わたしはこんなときまで笑ってた バイバイ 捨てられないプライドだって 立派に育ってるんだよ 守られたいときに限って きみはどっか行ってたんだよ 1人じゃいられない けど1人でも大丈夫 背伸びだってわたし ジャンプしたってわたしだし 最後に一つ お願いがあるのよ 優しくなくていい きみはそのままでいい でも育てた花には ちゃんと水をあげて サボテンもほっとけば 枯れちゃうんだから 1人が2人になって ...

火々

ねえ あのとき手を振って 別れたときにはさ まだ僕を好きだったよね? だって振り向いてくれたよね はにかみながらさ 最後の言葉の意味なんて 考えれば考えるほど 君が僕を好きだったこと 証明できてしまうんだ 想い出を燃やして生きてく 盛る火を抱きしめ歩いてく 僕たちは終わった恋を想う 色褪せることはないのに 終わらない青春はまぼろし わかってるんだ わかっているのになあ ねえ あの頃二人は この東京の街に 馴染めないことが不安で でも馴染まないことにホッとして ありきたりだったね ...

悪魔の子

鉄の弾が 正義の証明 貫けば 英雄に近づいた その目を閉じて 触れてみれば 同じ形 同じ体温の悪魔 僕はダメで あいつはいいの? そこに壁があっただけなのに 生まれてしまった 運命嘆くな 僕らはみんな 自由なんだから 鳥のように 羽があれば どこへだって行けるけど 帰る場所が なければ きっとどこへも行けない ただただ生きるのは嫌だ 世界は残酷だ それでも君を愛すよ なにを犠牲にしても それでも君を守るよ 間違いだとしても 疑ったりしない 正しさとは 自分のこと 強く信じることだ 鉄の雨が 降り散る情景 テレビの中 映画に見えたんだ 戦争なんて 愚かな凶暴 ...

まっさらな大地

ねえ 隣で笑ってくれれば それだけでいいから その腕 おろして いつのまにかあなたがわたしを 守ってくれてた 今さら 気付いた ごめんね 謝れない 大人のために 子どもは泣くの どこまで行けば たどり着くかな あなたが言ってた 自由はこれなの? 傷が疼いて 仲間の顔 よぎれば まっさらな大地に咲いた花を わたしは綺麗だと言えるかな ねえ あのとき選んだ言葉が 違ったら未来は 変わっていたかな ...

距離

ほんのちょっとの距離のせいで ふたりはすれ違っていいんだよ いいんだよ それでいいんだよ きっといいんだよ 君と買ったコートを今も着てるよってさ その店随分前に潰れてるけど まだ言えていないんだよな 髪を切った写真が送られてきてもさ 柔らかさも地肌のあたたかさも もう覚えていないんだよな 笑ってる君 その背景 知らない街 知らない友だち もしわたしが 泣いてても 言わなければ君は気付かない ほんのちょっとの距離のせいで ふたりはすれ違って 疑うことさえ怖くて それでも想い合っていいんだよ いいんだよ それでいいんだよ きっといいんだよ ...

悲しい歌がある理由

お姫様みたい、と褒められてから着続けてる 真っ白いワンピースはもう制服です 飲み会で上司にお酌をする係はわたし 別にあんたのために着てるわけじゃないの 結婚したいと言ってる本当の理由は 結婚したいと思われるほど愛されたいってこと かっこ悪くてもお金がなくても優しくなくてもいい 誰でもないわたしを必要と言ってよ 悲しい歌はあなたを傷つける 古傷を庇うかさぶた 剥がしてしまう だけどほらみて 皮膚は厚くなって 残る傷跡はその優しさに変わってる もう痛くないはずだよ 武器だと言われて歯を食いしばり堪えた涙 ずっとそうしたらいつの間にか泣けなくなった なんで泣かないの?薄情だと言われた葬式で 本当のわたしを知る人は棺桶の中 殴られるなら触られる方がまだ良いから黙ってた なんか言えよって笑えよって頬殴られた 誰かが拾った小さな小さな小さな幸せは ...