Tag: 三船和子

ひと夜草

どうかこのままで いさせて下さい あなたを愛する 私のままで 心さえ 通いあえたなら それで それで 幸せよ 朝に閉じ 夕べに咲いた 私 あなたの ひと夜草 ふたりめぐり逢う 運命(さだめ)に生まれ この世で結べぬ 縁に泣いた 移り香が 残るこの肌を そっと そっと 抱きしめる この逢瀬 百夜とおなじ 私 あなたの ひと夜草 いいえこの恋を 悔やんでいません あなたに逢えない 明日が来ても うしろ影 送るその度に これが これが 最後かと 朝に閉じ 夕べに咲いた 私 あなたの ひと夜草

瑠璃あざみ

濡れてゆきます このまま一人 肩に冷たい 走り雨 人目忍んで 隠れ宿 何度この道 通ったか 雨に打たれて 咲く花は 心とがめる 瑠璃あざみ 行こか戻ろか ためらいながら 女ごころの 通せんぼ 今日が最後と 決めたのに 逢えば崩れる 私です 匂いたつよに 咲く花は あなた誘って 瑠璃あざみ 髪の乱れを 恥じらうように 隠す胸もと 紅の裾 帰りたくない 帰さない 白い素足が 艶(いろ)めいて 縋る想いで 咲く花は 何故に哀しい 瑠璃あざみ

化粧雪

添えないこの世の 恋ならば 涙の花か 化粧雪 忍び逢う夜の 酒をつぐ 酒をつぐ 許し合う身の 情け宿 明日の別れを 忘れたい どんなに待っても 来ない春 運命(さだめ)を泣くか 化粧雪 これでいいのよ 怨まない 怨まない 酔ってささやく 夢もある 想い出枕の 暖かさ どんなに愛され 愛しても 幸せ薄い 化粧雪 燃えて甘える 腕の中 腕の中 解いて結んだ 帯だけが 夜明けの切なさ 知っている

夫婦ほたる

夜が冷たい この世の闇に 夫婦ほたるは 灯を点す 愛があるから 笑って生きた 愛があるから 幸せよ 甘い水には 夢があり 苦い水には 苦労がしみる 生きることには 不器用だけど 夫婦ほたるの むつまじさ 宿があるから 寄り添いながら 宿があるから 寄り添うの 二人ぐらしの 晩酌に つくる手料理 こころが弾む 羽根をすり寄せ 労(いたわ)りあって 夫婦ほたるは 明日を呼ぶ 夜があるから 耐えられるのさ 夜があるから 耐えるのよ これが私の 運命(さだめ)なら 命ぎりぎり 尽くしてみたい