Tag: 日食なつこ

やえ

話すことはないけど会いましょうって春の宵 排気ガスを浴びて終わらない夢を見る 巻き上げるダストが突き刺さって涙目 ちょうどよく覗き込む見知った顔がにじむ 行くあてもないまま歩きましょうって春の宵 境目をなくして淡い夢に落っこちる ほとんどもう破綻している世界において いまだ狂わずにいるその影が 揺らいでばっかのこの道の先で どれほど光だったか知れない 話せば話すほど溺れていく春の宵 ひと挿し早咲きの八重の桜眺む あれが枯れる頃答えも出るはず きっと僕は引き下がることを選ぶ 澱んでばっかのこの瞳の奥で どれほど思い浮かべたかなど言えない せせらぐような声は喧騒を洗っていく 連れて行ってほしいと思う かがり火のような熱は掠った手を焦がしている 今終わってもいいと思う ...

幽霊ヶ丘

とうに見頃も過ぎ去りて寒空に穂を揺らす芒原 誰の面影を そこに重ねてる 孤独を望む逃げ場を探す必要のない命もあると知る 想い遂げられた とて続かぬだろう 風もなき 悠久の丘にて 綴ったいたずらな恋を 迎えに来る人ついぞ現れず 絵空事の朱い火燃ゆ 見渡せども幻影ばかりでどっちつかずの足場に吹き溜まる 野分裾濡らす 恋路よるべなく 風ゆらぎ 幽閉さるるここへ 吹いたうちひさす京の 謡い踊る息吹不意に胸を打つ 絵空事を望んでいる 風すさび 幽霊ヶ丘にて 願ったとこしえの愛を 迎えにゆくにはちょっと遅すぎた 絵空事と憂いて消ゆ

diagonal

君の涙は宝石になると言った あの日の貴方へ あたしの涙はまだ涙のままです 必死の抵抗も虚しく夕陽は落ちた あの日のあたしは 優しい夢じゃない 冷たくても現実 それがそれが欲しかった 慰めなんかいらなかった なのに貴方は連れ去った 優しい夢の向こうへ しんしんと音もなく空に夜は降った 離れないでと貴方が握る左手を振り払った 必死に叫ぶ声 「君を守るために来たのに」 それじゃ駄目だって分からない人とこの橋は渡れない 追って来た人振り切って 渡って来た橋を焼き切った それできっと正しかった 貴方はそちらで生きて 守られてしか生き抜けないようじゃ辿り着けない場所へ あたしはゆきたい ひとりでゆきたい 闘い勝ちたい 対角線上の現実 ただそれが欲しかった 慰めなんかいらなかった なのに貴方は裏切った その手の温もり あぁ愛も希望も併せ持った 貴方がひたすら好きだった からおんなじくらい邪魔だった どうかそのまま行って 消えて 優しい夢の向こうへ

ライオンヘッド

ライオンヘッドは風に揺られ 今日も孤高をたなびかす 遠方跳ねるガゼルの群れ 襲うのだって勇気がいる 「ライオンヘッドに近づくな」 その荒野の合言葉 逃げ出す一瞬誰の視線も恐怖以外の何かが光る 空腹でもないのに襲ったりするかいな 爪、たてがみ、牙が揃ってるだけでこの有様さ ライオンヘッドは風に揺られ 今日も耳をそばだてる 遠方水辺ゼブラの群れ 笑った声で空気が割れる ライオンヘッドの荒野にある日迷い込んだ人ひとり 「あいつは誰だ」「奇妙な奴だ」と寄ってたかって責め立てる 必要もないのに殺したりするな 爪、たてがみ、牙を光らせる時はまさに今 走れ 唸れ 蹴散らせ大地 そんな群れなら消えたらいい 何を守って是と成す大地 怯え 怯えた末に襲い掛かった愚かさ 飛び散る半端者たちの飛沫を浴びて なぜか酷く空が青く見えた 怒りや憎しみがお前を傷つけるのは お前もまた世界に牙を剥いているからだろう ライオンヘッドは振り返った 「恐ろしいならゆくがいい」 遠方震える僕はそっと 金色の孤高に手を伸ばす

蜃気楼ガール

垣根からあふれた蝉の声 気を取られた一瞬で君は水蒸気のように変わっていく 立ち昇るいくつもの感情 隠せない本当の思い 加速する熱にやられ眩暈 気がつかない透明な君は蜃気楼のように遠い 立ち昇る毎日の向こうに 消えないでくれよ 乾いた喉を潤す言葉を僕は知ってるはず ひとりぼっちの蜃気楼ガール 届かないまま夏が過ぎる 触れたいよ蜃気楼ガール 諦めれば夏は終わる 君もこの恋も幻にはしない 白い肌 遠のく蝉の声 満たされた安全な場所を逃げ出したいと語る目 蒸発しそうな微笑み 寂しいとは言えない唇 乾いた心潤す言葉も僕は知ってるはず ひとりぼっちの蜃気楼ガール ほんとは叫びたいって知ってる 迷子になりそうな夜は 夏の星座を全部集めて 君の足元を照らし出すオーケストラ ひとりぼっちの蜃気楼ガール けして消えない夏をあげる ひとりぼっちの蜃気楼ガール 届かないまま夏が過ぎる 触れたいよ蜃気楼ガール 諦めれば夏は終わる ...

ダム底の春 feat.Sobs

お気に入りの場所を誰にも教えないまま何度目の春 今日も水位はひどく低い無人のダム 干からびたダム 適宜適切な距離誰とも測れないまま快適な日々 こんなとこに一緒に来たい人も思い浮かべられない 昨日は確かどしゃ降りの雨だった 溢れ返るくらいを期待して来たってのに拍子抜けさ そこらじゅうに花が咲いてて足の踏み場もないくらい春 こんなことになるなら買わなくたってよかったな 助手席に寝かせた花束 ぶら下げて向かう先はダム グリーンブルーの湖は見た目より深そうだ どの花が喜ばれそうかなんて浮かれた店先で やめとけばよかった、とは言えなくて 渡せなかった花は即ち存在もしない愛にも等しいから 投げ捨てたって罪にならない いくつも浮かぶ言い訳も束ねて 振りかぶって水面に放つ 真っ赤なリボンがほどけ沈んでゆき あとにはもう波すら立たない いつか水底で咲くだろうか ダム底に投げた花束 青空にその一瞬は焼きついて 花の名も覚えられない僕の目にただ残って消えない

夕闇絵画

グレイオレンジ街は夕暮れ 途絶える風 サイレン 覚えておきたい景色は多くはない そう今目の前の君以外にないのさ グレイオレンジ街に通り雨 君が伸ばした手 叩きつけられて潰える2秒前の哀れな雨粒を受け止めた あれが僕じゃないこと 妬んでしまうなんてどうしようもないな 気がふれてしまう前にもう 帰ろう 何ともなしに君が歩く風景に立ち入ることすら許されぬ僕 それじゃまたねと分つ三叉路で「また」などないって気がついて夕闇 グレイオレンジ街は多湿帯 よだつメランコリック 憂鬱な雨上がりの唯一の正しい扱い方知っているのもそう、君以外にない あれは遠い夏のような ただ上空の飛翔体のような 手の触れてしまう日の来ない出会いさ 何ともなしに君が歌う旋律に交じることすらもできない僕 ずっと憧れてここまで来たのにね もう今目の前で君が終わる 何ともなしに君が歩く絶景に立ち入ることすら許されぬ僕 それじゃまたねと消えていく人に「また」などないって決めつけて それが誤ちだって今更気がついて夕闇 グレイオレンジ街は夕暮れ

小石のうた (Natsuko singing ver.)

不揃いな僕たちは 星になる夢を見る小石 水を跳ねて 飛び立つ灰色の鳥 揺らいで揺らいで 風を捉えて乗っかった 移ろう時代を 乗せて川は流れる 注いで注いで 記憶に水をやる 忙しない日々を転がりながら すれ違ったり 時に削りあったり まるで河原の小石みたい 不揃いな僕たちは それぞれ違う夢を見て とんがってとんがって 悲しい目にもあうけれど 弾き合う音は 楽しそうに宙を泳いでる 今夜もまた僕は 星になる夢を見る小石 影を伸ばして 始まる灯火の街 結んでひらいて 夢が花と咲く 狭い道の向こう 迷子になったら 耳をすまして ほら手の鳴る方へ お腹空かせて帰ろうよ 不揃いな僕たちは それぞれちょっぴり背伸びして つっかえて間違って ちっとも進めやしないけれど 大きな世界は そんな風に知ってゆくものでしょう いつか思い出して 星のように光ればドラマティック 不揃いな恋をして 同じ水の中で 転がって 笑い合って 不揃いな僕たちは それぞれ違う夢を見て ...

√-1

まるで踊るかのように歩いていたんだ 好き勝手やられてやって並んでいたんだ あふれる思考才能とめどがなかった 似たようなお前じゃなきゃ張り合いもなかった まるで踊るかのようにゆく足取りを 誰も止めらんねぇんだって笑いあったよな 一体あの日々のどこまでが本音で どっからが俺1人だったのかもう分かんねぇんだ 血色の悪い真っ青な手とひび割れそうな真っ赤な手で いくら手繰って寄せ合ったって存在しない数を それでも i や虚ろと呼んで知った気になったあの夏を 越えられなかった気付けなかったお前も、俺も、馬鹿だったんだ 拗らした理想、屁理屈、感情論だって その口からだったら聴いてやらんでもなかった 1発ぶん殴るぐらいしたかもしれないが、お互いに その方が今よりずっと救われたろう 節操もない闇をなぞらえて輪郭を持ったその足で いくら歩いて道を成したって 結局孤独だろう ...

クロソイド曲線

体感速度よりずっと速くやってきた朝に打ちのめされつつ 急勾配を鈍牛の如く這い登る僕もっと遅い君 この坂を登り切ったらもう終わりでいいだろう もう歩けやしない 2人分の疲労 正しい速度でさっと僕ら追い抜いた影に打ちのめされつつ 急勾配あと少しだアルコホル残る僕もっと酷い君 この坂を登り切った先に続きがなくとも 明日を描くであろう 2人分の愚行 手を取り合って一直線 穴だらけの羽で飛んでいた 障害物避けられないで ぶつかった破片が弧を描く あの日の僕ら一直線 恐ろしさも知らずに飛んでいた ずっとずっと強くなった今 欲しがるものじゃないはずなのに 首都高速道を抜けた アクセル踏んで欠伸噛み殺す夜明け 目を開けたまま見た夢を奪い去るクロソイド曲線 にじむ太陽一直線 穴だらけの羽に透けていた 笑うしかもうないようなザマを指差しあっていた朝 あの日の僕ら何ひとつ手にできないまま並んでいた ずっとずっと強くなった今 どこにいるかさえ知りもしないのに 手を取り合って一直線 穴だらけの羽で飛んでいた 障害物避けられないで 飛び散って叫んでは弧を描いたんだ あの日の僕ら泣いていた 恐ろしさを振り切り飛んでいた ...

シリアル

文字通りのアングラで 噛み砕いてる 味のないシリアル 炭酸も抜け切る頃 今日の獲物が 天上から降ってくんだ 真っ二つの伝書鳩 平和の象徴 神なんざいねぇよ 簡単に行き場をなくす 今日の獲物も また一撃でグンナイ これで良いんだろ? 奪う側だろ? ヤれば良いんだろ? 躊躇いはない ガス欠を恐れ法定速度で生き永らえるリーガルズよ メーター、ブレーキ、ハナッから無い この切っ先から逃げおおせてみろよ 「とんがったその指先もいつか愛を知る」なんて抜かすなfellow 反吐が出るぜ 嘘は嫌いなんだ さぁ見せてくれよ断末のリアル 文字が読めた試しはない 赤、青、ふやけきったブラックシリアル B6 俺のテリトリー と同時に檻? been in custody マジでやるのか? お前分かるか? 抜け出せるのか この墓場から 断罪を恐れ従順なまま飼い慣らされるサクリファイシズよ ゲンカクなジャッジ?ラリッたデスサイズ? どっちで終わるかホラ選べよ 「何だって叶えてあげたじゃないか愛しておくれ」?笑わせんなdotty 程度が知れるぜ 御託並べたって 最期に残るは断末のリアル ...

最下層で

深い穴に落ちた 自業自得の日々を享受する 巧くことを運んだ誰かが追い抜いた音がする 無駄に使ってしまった時間が化石になり落ちている 「また来たのか お前」 骨になった指先が僕を指す 「一度で学べと言ったろう俺は言ったろう なのにまたやったのか」 注ぐ罵倒にかざすべき盾も 今はなく 正論の雨を体に浴びて 尊厳の類は流れ落ちて 何にも持ってない僕になって 清々しいほどの最下層で 深い穴に落ちた 僕以外にも誰かかがいると知る 聞こえる足音は僕が出す音と酷く似ている 同じような何かをきっとさ 俺も君もさ ここで償わなきゃ 遥か頭上 丸く切り取られた空を見る 天上の神様知ってるんです 案外俺ら嫌われちゃいないんです 追放するための罰じゃないんです もう1度飛ぶための慈悲深きチャンス 底無しの闇も照らすような声で 僕ら呼び合えばいい ただそれだけの話 底無しの闇も蹴散らすような歌で 僕ら生きていけばいい ただそれだけの話 正論の雨を体に浴びて 尊厳の類は流れ落ちて 何にも持ってない僕になって 清々しいほどの最下層で 正論の雨よもっと降れ降れ 尊厳の類よ暫しの別れ ...

必需品 (album ver.)

○月××日 洗剤が切れました 買ってこなくちゃ ○月××日 歯磨き粉が切れました 買ってこなくちゃ ○月××日 牛乳が切れました 買ってこなくちゃ ○月××日 僕の電池が切れました 一生懸命やってると 足りなくなってくるのが人です やってもやっても追いつかない ゆける明日もないのです ○月××日 サボテンが枯れました 買ってこなくちゃ ○月××日 ペンのインクが枯れました 買ってこなくちゃ ○月××日 才能が枯れました 買ってこなくちゃ 買ってこなくちゃ 一生懸命やってると 訳分かんなくなってくのが人です 吸っても吸っても吐き出せない なら沈んで待つのです どれほど 使えど 君の手元から なくなる ことのない 必需品でいてみせるよ 一生懸命やってると 足りなくなってくるのが人です ...

vip?

吐いた息さえ氷点下 窓外で呼ぶ錆びた太陽 起き上がれそうにもないかい? やれることなら僕がしておくから 脈拍、体温、気圧、そんな話でもないのでしょう 吐いた嘘さえ氷点下 喉元で固まって溶けないと どこへ行こうにも厄介 迎えに行ける場所ならいくけど 一晩寝れば過ぎるような嵐でもないのでしょう どうしようもなくダメな日は ふたりで一緒にダメになろうか 何一つ役に立たない 僕を隣にいさせてくれよ 世界がいつもより ズルくてちょっといじわるな夜は 多くはない幸福に 灯りともして暖まるんだよ 見えなくなりがちなその目のための僕なんでしょう どうしようもなくダメな日は ふたりでどこまで堕ちてゆこうか 流れ星には程遠い 僕の背中で眠ったっていいよ 醒めたくなくなる夢をあげよう 醒めたい夢からは連れ出してあげるよ 僕が見る悪夢の裏側まで 君は見なくてもいいんだよ どうしようもなくダメな日が ...

夜間飛行便

幾星霜ぶりの感情です それは突然降り落ちた 11月、散って枯れる季節にひとり芽吹いて勝手に咲いた花 ずいぶん前に忘れていたんです 水を撒いて育んで めんどくさい手入れ必須な心 それでも僕ら抱えたがって 「叶うといいよね」「似合えばいいよね」 戯れの行く末 知る由もないよね Much far taller than I am you are, I guess 意味のない背比べをしたい 12月、降って積もる季節にあなたの影だけが黒くて 視界の隅っこでその目を盗み見て 振り向くことを願えばほら許されない微熱 しょうがないじゃんか どうせ どうせ 365日すれば忘れる ...

うつろぶね

考える事を辞めてしまった真っ黒い船が海に出た 廃棄物のような理想を積んで全速力で飛び出した 胸に掲げた金ぴかのドクトリン 只一つのそいつの誇り 風になびく心とかいうものは置いてこいと教えられていた 回る灯台 その光が照らさない道を 知らなすぎた 君も確かに悪かったのさ またも1つおんなじ形の真っ黒い船が海に出た 沖で漂う奴らと混ざってすぐに分からなくなった それを見下す岸壁のヘッケルン 呆れ顔で吐き捨てた 「導くものはいつだって導いたその先に興味などない」 ああ僕ら 選んだのか選ばされたのか 考えたいのに未来は容赦なく押し寄せる うつろな舟のような僕の 空っぽなはずのこの体に 爆弾のような訴えを積んで転覆しそうな今日この頃 「何だっていいから使えそうな嘘を全部積んでさっさと行け」 振り向きかけた僕らの背を誰かが無理やり押し戻す 求められるは完璧のレッテル 剥がれかけてまた貼って 風になびく心とかいうもの、忘れちゃえばもう帰れない ああ僕ら 望んだのか望まされたのか 奪い合う日々 果たして何人が生き延びる うつろな舟のような僕の 空っぽなはずのこの頭に ...

hunch_A

曖昧な感触だけ掴んで乗っかる上昇気流 Higher 飛べるか 振り落とされるか 未来予知の結果は教えないでよ blink, 瞬くサテライト zip, 擦過傷の痛み 何かが始まるのはいつも強い風の中 flip flop, はためく僕の憂いも嘆きもさらっていく 鳥のような予感 The hunch I'm grasping, It must be the hottest days 落雷に打たれたようなひらめきでかいくぐる手痛い敗北の気配 ...

un-gentleman

やあお嬢さん旅の途中かい バックパックが重そうだね Un-gentleman I am. どうしたんだいそんな急いで 探し物が見つかんないのかい Un-gentleman I am. ここは光を寄せつけぬ森 あんたは呼ばれてここに来たのさ なあ 空から降ってくる星ばっかり あんたは追い回しすぎだぜ 不機嫌な神様のために 踊るような真似はやめてくれ やあお嬢さん怒ってるのかい ちょっぴり僕も言いすぎたね Un-gentleman I ...

meridian

「明けない夜はない」 という高々掲げられた声 夜の闇に守られる誰かを震え上がらせる ひやりと日差しが陰ったどこかに 人目を忍んでは泣く場所が欲しい meridian 光が空に満ちた日 それを望んではいなかった誰かの絶望 忘れるな 忘れるな 光を称えた君よ 忘れるな 私のことを 雲ひとつも残さない仰々しく染まった空 隠れ場所を見失い溶けた嘆き 今は見ない 迫る朝焼けに手を突き出して 何かを叫んだ君 何を止めようとしたんだ meridian 痛みは知られたくはない それを隠したただひとつの場所も今はもう 光だけ 光だけが満ち足りて近づけない 希望だけじゃ生きてゆかれないよ meridian 光が空に満ちた日 それを望んではいなかった誰かの絶望 消えるのか さよならだ 光に呑まれた君よ ...

悪魔狩り

悪魔と化したあの子の心臓 真ん中で照準捉えてお前は ためらいもせず引き金を引く 災いを祓う言葉は銀色 街にはびこる恐怖とゴシップ 誰かれ疑い疑われ光らす目 言いつけを守れば救われる 破る奴に同情の余地はない 何百年前 つい最近だって おんなじことやっていたような まぁいっか ほらまた鳴った (Cough! cough!) 判決の時間 悪魔を狩れ 魔女を裁け 人の世を護り哀れみたまえ 夜警の火に駆り立てられ 翻弄されるだけのお前が 聖人君主を名乗るのかい 悪魔と化したあの子はさ 甘いものが好きな普通の少女だったんだぜ ためらいもせず引き金を引く お前の手には祈りの1つさえない あらゆる立場 力 財 名声 すべては恐怖の前に消し飛び 真っ平ら これこそ理想的人類みな平等、さ 夜の闇に紛れ 何かが嗤っている 隣の家はこないだの晩からずっと空っぽだ 逃げ場などないんだって本当は気づいている さあ今夜も火を灯したら始めましょう 悪魔を狩れ 魔女を裁け 人の世を護り哀れみたまえ 夜警の火が街を照らす 最後の生贄はお前 ...

なだれ

泥水をはねて前進すんだ 雪解けで走る川のように 凍る不安もかっさらって 瞳は過去を見ていようとも つま先が明日を向いている 帰ろうなんて考えるな たとえば何百年前に 凍りついて終わったはずの桃源郷 今更やっと吹いてきた 春風に心をさらわれて もう雪崩落ちる寸前だ 泥水だろうが感情なんです 拭いもしないで僕はゆく 洗い落とす予定はない 君が失ったきらめきももうじきに息を吹き返す 覚えているかい あの歌を ああそうさ何百年前に さよならして閉ざしたはずの感情が 今更目を覚ますからさ どうしようもなくなって溢れた僕 手を伸ばしてこじ開けてしまえよ 一問一答 100回やって 要か不要か 問うことすらもう必要はない たとえば何百年前に 凍りついて終わったはずの桃源郷 今更やっと吹いてきた 春風が君にも分かるだろ? さあ雪崩れ落ちておいでよ

KANENNGOMI

やることやってさっさと未来に行けよ 人に言うのは簡単で 自分はどうだい? 部屋に溜まった積年の宝物 かき集めたらたったひと抱えの可燃ゴミになった 次の燃えるゴミの日は金曜日 忘れないように丸を書いたカレンダー それは1つの歴史の終わり クソガキの僕 15の僕 21の僕 つい昨日の僕を 「勿体ない」なんて嘆きながら 足で押し込んで袋に詰める やることなんてほんとは幾らもないんだ 忙しいほうが格好がついたかつての時代 部屋に溜まった積年の宝物 手入れもしないまんま いつの間にか粗大ゴミと化した クソガキの僕 15の僕 21の僕 つい昨日の僕が 「勿体ないなんて嘆くのなら捨ててんじゃねえ」ってビニール越しに嗤う

HIKKOSHI

AM5:35 August 3rd Monday 最後の荷物を車に積み込んで よく住み慣れた部屋を後にした このドアの鍵を閉めるのも最後さ さみしくなどない 恐ろしくなどない 本当のところはどうだかまだ分からないな 朝靄でちょっと蒸し返す空気 風が吹くのを待っている 退屈などない刺激的な文化圏 そこを離れた僕を知りたくて さらば街よ思い出よ 離れたくないくらいで旅立ちは訪れる カーステレオからくぐもったラジオ この夏最初の台風が来るんだってさ 低気圧のせいで重たい頭と 反比例する心 寂れたコンビニで新天地最初の 朝ごはんを買ったよ バターロール サラダチキン ...

99鬼夜行

苛立ちの窓辺に花火1つ 汗ばんで愛し合う夏の虫 惹き合う求愛のうた空高く 見事僕を打ちのめす 眠らん大通り時速60kmで夜は行く どうどうめぐりから抜け出せない 僕の存在などいざ知らず コンビニで缶ビールバニラアイスの彼女はポケットにチョコレート ちょっぴり青いあんな頃があったかな 僕にも 夢よさよならどこへでもゆけ 四半世紀後にまた会いましょう それでもまだこの椅子の上 僕がいたならそれを未来と呼ぼう いま何時? 時計は時空超えたかの如く微動だにしねぇ 朝よ来い もう2度と来るな 行方不明の僕に誰か 伝えて「さよなら」どこへでもゆけ 四畳半で足らないならやむなし 本日の僕は幾ばくか不足 出直そう 遥か遠い未来夢に見て いざ吹け懺悔の笛の音 狂ったように舞え敗けを受け入れて 異形の行列の先頭を飾れば こんな宵も悪かないかな なんてな あぁ もう 夜が明ける きょうもまた こたえられない 夢よさよならどこへでもゆけ 四半世紀後にまた会いましょう 割り切れないこの夏の先に 僕が行けたらそれを未来と呼ぼう

真夏のダイナソー

口を開けて 空を見ていた 視線の先に 巨大な雲 隣で君も おんなじような 顔をしていた 空を見ていた 「あんな大きい ものがひとりで 動いてんだぜ 信じられるかい?」 少年のように君は言う その瞳も染められて青い 言葉も 身体も 敵わない 世界に抱かれて あとはただただ ただただ ただ笑うしかできない2人の背後で 止まることなくまだまだまだ 巨大化していく真夏のダイナソー 空が足りない 口を閉じて 考えてみた 視線の先の 巨大な雲 あのてっぺんに乗っかって 青すぎる世界で 手を繋ぐ夢 2人を乗せて ダイナソーは 動き出すのさ 夏のまんなか 咆哮を上げ どこまでもゆけ ご機嫌に笑う 2人と1匹 非科学的 現実逃避も甚だしい そんなの聞こえない あたしこのままふわふわ終わらない 今日に飛んで消えてしまいそう 君はこの手を今いまイマ捕まえるべきさ 浮ついたアイロニー また言えない 君がまだまだ まだまだ まだ足りなくて でもそれが楽しくて 想いも更に さらさら 更に降りつもっちゃってさ まるでダイナソー 明日もただただ ただただ ただ笑うしかできない2人の背後で ...

ワールドマーチ

ワールドマーチ 高らかに声を上げて 世界は今日も行進を続ける 足並みを揃えて前を見据える 体と思いは食い違っていてもよしとする ワールドマーチ 体と想いが一緒に動く君は 離れたところから見ている 「私は皆のように列に入れない出来損ない」 寂しそうに言って笑う 剥がれ落ちそうな靴底が 君の歩いた距離を語る なのにそれも隠して またそんな風に笑う だってそれは君が生きた証明なんだろ? もういいからさ この世で一番 高い塔の上に2人で立って 世界の全てを見下そうよ それが許されるくらい 君はもう歩いたよ ワールドマーチ よく見れば 誰も彼も見ている方向は バラバラのまま歩いてる 当たり前に姿も声も違うこと 何故か彼らはひどく怯える そのザマで?どの口で?君をなじる? もう滅茶苦茶にしてやりたい衝動に駆られる それすら羨ましそうに見つめる君に 僕は 一生 叶わないんだろうと知る もういいからさ この世で一番 高い塔の上に2人で立って 世界の全てを見下そうよ それが許されるくらい 君はもう生きた ワールドマーチ 高らかに声を上げて 世界は今日も行進を続ける ...

泡沫の箱庭

夢から醒めるその刹那に 懐かしい人の匂いを嗅いだ 長らく焦がれたその影は まっすぐにこちらを向いていた 何も言わぬのは戒めか それとも言葉じゃ足りぬからか 答える術のない私は されるがままに手を引かれた 薄墨の空 やや雲走れば あられ地や 泡沫の箱庭 醒めるだなんて思いもせずに 貴方の手の温もりの その奇跡をただただ思い知る ねぇ現もこうであったのなら 触れたこともない腕の中に閉じ込められて箱庭 嗚呼 あかねさす 徒然歩く長い廊下に 名前も知らない花が咲く しおれてほどけたその蔓は あてどないふたりによく似てる 朧に霞んでゆく 透けるスカート 終わりのチャイム ただひとつ残りていと恋しきは あられ地や 泡沫の箱庭 何年ももう過ぎた今頃に 貴方またあの日の姿で 奇跡をもたらし戸惑わす ねぇ現もこうであったのなら こんな世界歌などいらない 全て揃った箱庭 もう出られない 泡沫の箱庭 醒めるだなんて思いもせずに 貴方の手の温もりの その奇跡をただただ思い知る ...