Tag: 福田こうへい

男の祭り唄

風よ吹け(ソイヤ) 雨よ降れ 赤い夕陽が 大地を染めて 黄金色した 稲穂が揺れる 土の匂いをヨ(ソイヤ) 浴びる体でヨ(ソイヤ) 夢を耕せ 熱く熱く エンヤコラ(ドッコイドッコイ) ドントコラ(ドッコイドッコイ) 涙を飛ばせ 豊年満作 男の祭り唄 北の海峡 命をかけて 一番船だヨ 男の出船 板子一枚で(ソイヤ) 波を蹴散らして(ソイヤ) 海と勝負だ 熱く熱く ソレ引け(ドッコイドッコイ)ヤレ引け(ドッコイドッコイ) 血の汗流せ 今日も大漁(だいりょう)だ 男の祭り唄 風よ吹け(ソイヤ) 雨よ降れ 男の男の 男の男の祭り唄 風よ吹け(ソイヤ) 雨よ降れ

庄内しぐれ酒

庄内恋しや 歳とる度に 酔えば目頭 凍(しば)れる波の花 ふるさと売って 幾年(なんねん)だろか 詫びる冷酒 この身に染みる 帰りたいよ 帰れない 胸の根っ子が 意地を張る 庄内しぐれ酒 庄内達者か 親父も婆(ばば)も 写真一枚 心の守り札 湊のネオン 都会の浜は カモメ一羽も 迎えにゃ来ない 帰りたいよ 帰れない いつか坊主と 呑める日が 庄内しぐれ酒 庄内平野に 雪ん子降れば 鳥海山(やま)も夏まで 綿ぼうし雪化粧 盆には土産 ぶらさげながら 電話のおふくろ 涙をすする 帰りたいよ 帰れない 駅舎(えき)で手をふる あの姿 ...

親友よ

葉音(はおと)に都会の 風を聴き 夜空(そら)に浮かべる ふるさとを 変わりないかい 元気かい あれからずっと 会えてない やんちゃをしては 叱られて その度(たび)かばって くれたやつ 親友(とも)よ親友よ 離れても 声は互いに 届いてる 固く結んだ おとこの絆 それが明日(あす)への それが明日への 道しるべ いつもの暖簾の あの席に 熱い想い出 染みている 次の盆こそ 帰るから 飲もうぜ 語り明かそうぜ 思いもよらぬ 悲しみに 涙を流して くれたやつ 親友よ親友よ ありがとう お前いたから 今がある それがおいらの 不器用なりの 伝えきれない 伝えきれない メッセージ ...

北国の春

白樺 青空 南風 こぶし咲くあの丘北国の ああ北国の春 季節が都会では わからないだろうと 届いたおふくろの 小さな包み あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな 雪どけ せせらぎ 丸木橋 落葉松の芽がふく北国の ああ北国の春 好きだとおたがいに 言いだせないまま 別れてもう五年 あの娘はどうしてる あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな 山吹き 朝霧 水車小屋 わらべ唄聞こえる北国の ああ北国の春 あにきもおやじ似で 無口なふたりが たまには酒でも 飲んでるだろか あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな

酒きずな

一度結んだ 命のきずな 結び通して どこまでも これが二人の 生甲斐ですと 決めた心に…エエエ…嘘はない 晴れて添えない この世の運命(さだめ) 怨む気持ちは ないものを 私独りを 残して逝った あなたあの世は…エエエ…遠すぎる 古い女と 笑われようと 肌は誰にも 許さない 月に淋しさ 打ち明けながら なみだ杯…エエエ…酒きずな

夫婦舟

この川がどこへ 流れて行こうとも 岸をはなれた 夫婦舟 愛し合う ふたりに嵐が 吹こうとも 一緒に生きてく あなたがいるわ 浮草に似ても いいのよかまわない 夢が積荷の 夫婦舟 ふるさとに 戻れるその日が なくっても 涙を拭きあう あなたがいるわ 幸せをつなぐ どこかに橋がある そこへ着きたい 夫婦舟 この人の 明日に私の 明日がある 一緒に生きてく あなたがいるわ

あんた

コップ一杯 飲む酒も なぜか淋しい 今日の酒 外は冷たい 雨が降る 飲めば飲むほど 哀しくなるわ 涙流れる グラスの中に 悪い私を 叱ってあんた どこへ行ったのよ 戻って来てよ ねえあんた 別れましょうと 強がりを 言ったつもりじゃ なかったわ 濡れて帰るわ 雨の街 弱い私に 冷たい雨が 音もたてずにただ降りしきる もっと叱って 私をもっと どこへ行ったのよ 戻って来てよ ねえあんた 眠りたくない 一人では 帰りたくない 一人では 私悪いわ 馬鹿でした 傘もささずに 夜更けの街を ...

なみだ船

涙の終わりの ひと滴 ゴムのかっぱに しみとおる どうせおいらは ヤン衆かもめ 泣くな怨むな 北海の 海に芽をふく 恋の花 クルクル帆綱を 巻きあげて 暁の千島を 忍び立ち あてにゃすまいぞ ヤン衆かもめ 舵であやつる 舟のよに 女心は ままならぬ 惚れたら遠慮は できまいが いやというなら ぜひもない 夢をみるなよ ヤン衆かもめ にしん枕に 北海の 月に哀しや 泪船

暖簾

心にポツンと 寂しさの明りが灯る やさしい人に逢いたい こんな夜には 温かな言葉に ふれたい 暖簾を潜って 立ち上る湯気の行方にも ささやかな人生謳うものがある 明日を信じて生きたい 馬鹿な 生き方しか どうせできないけれど お前らしくていいさと 今夜も 酒が笑う 死ぬほど本気で 惚れて 惚れて 惚れて 惚れ貫いた あの女に逢いたい こんな夜には 気取った夢など いらない 酔って 男が涙 流せば見苦しいね すべて胸にしまえと 今夜も 酒が叱る 馬鹿な 生き方しか どうせできないけれど お前らしくていいさと ...

天空の城

天にもらった この命 洗いざらしの ままでいい 時代遅れと 言われても 生きざまひとつ 腰に差し 仰ぐ心の あぁ 天空の城 櫻ひと春 何語る 無情儚き 花咲かせ 道の小石は 踏まれても 石垣支え 逃げはせぬ 熱き涙の あぁ 天空の城 遥か遠けき 海を抱き 膝に幼き 孫を抱き 生きた証しか ここに有り 血潮のしぶき 拭きはせぬ それが男の あぁ 天空の城

雨の影法師

雨の酒場で 耳にする うしろ髪ひく おまえの噂 腹におさめた 笑いもどこへ 酔って切ない 手酌酒 十にひとつの 思いやり 十を越えての 不義理の多さ バカな奴にも 面子はあって なんで今さら 逢えるやら 青い落ち葉の 散りいそぎ 春を無駄には しないでおくれ しずく払って 駆け出す露地に 肩も寂しい 影法師

涙のお立ち酒

峠七坂 気仙坂 越えてあしたはお嫁入り せめて今夜は水入らず 語り明かそう 幼い頃を 縁がありゃこそ 結ばれる 嫁ぎゆく娘の晴れ姿 山よ小川よ野の花よ 泣いてくれるな 未練が残る 又も来るから身を大切に はやり風邪などひかぬように めでためでたの 盃に 晴れてうれしや夫婦びな 娘達者で幸せに 祈る心で お立ち酒

祝いしぐれ

鯛の刺身の わさびの辛さ 怒るあなたの 目に涙 夫婦ですもの わかります 娘を嫁に 出す心 せめて今夜は せめて今夜は 水いらず 明日の祝いの 門出酒 嫁ぐ娘が 畳に座り 両手ついての あいさつを わざと聞こえぬふりをして 天井向いて いるあなた 扇ひらいて 扇ひらいて かくしても 祝いしぐれが ひざに降る 親という字を よく見てご覧 立って木を見る それが親 苦労しながら 育てた木 今日咲く花が 実になって 孫という名の 孫という名の 芽を出せと 祈る幸せ祝い唄

父娘坂

山に山風 野原に野風 親の心に 別れ風 蝶よ花よと 育てた娘 今日は嫁入り つのかくし 越えて行くのか 峠道 送る涙の イヤー 父娘坂 父娘坂 誰が唄うか 娘の為に じんと身にしむ 祝い唄 細い目もとは 母さんゆずり とてもきれいな 晴れ姿 鈴を鳴らして 馬の背に ゆれて越えるか イヤー 父娘坂 父娘坂 親が許した やさしい人に やっともらわれ となり村 何もお前に やれないけれど せめて自慢の お立ち酒 無事で倖(しあわ)せ つかみなと 祈りつづける イヤー ...

関東一本〆

やると決めたら どこまでも いのち一つの 筋一つ 関東気質(かたぎ)の 意地一つ お受けしました 〆の手も 一本〆で参ります お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 酒は千樽 万の樽 お山颪(おろ)しも そよろ風 阪東太郎は 男です お受けしました ニッコリと 一本〆でつとめます お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 祝いごとなら 数あれど 夫婦契(めおとちぎ)りの 上はない 二人が一つに なる祝い お受けしました 仲だちを 一本〆で願います お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) ...

娘よ

嫁に行く日が 来なけりゃいいと おとこ親なら 誰でも思う 早いもんだね 二十才(はたち)を過ぎて 今日はお前の 花嫁姿 贈る言葉は ないけれど 風邪をひかずに 達者で暮らせ 花嫁さんが泣いたらあかん 父さんの事は心配せんでええ きれいや 今日のお前ほんまにきれいや なあ母さん 夕べ娘が 酌(しゃく)してくれた 酒の味さえ おぼえていない 古い写真を 指さしながら ここが父さん そっくりなのと 頬(ほほ)のあたりを なでながら 涙ぐんでは はしゃいでくれた 笑い話で すませるけれど 口じゃ云えない 苦労もあった 嫁に行ったら わがまゝ云わず 可愛(かわ)い女房と 云われて欲しい いつも笑顔を 忘れずに ついて行くんだ 信じた人に

寿三杯船

一番船には 親が乗り 三番船には 孫が乗り 中の船には おまえとおれが 紋付き 留袖 晴れ姿 よーいさよいこら よーいとさっさ めでためでたの 寿上り船 一番船には 富士の山 三番船には こもかぶり 中の船には 鶴亀乗せて 七福神も ほろ酔いで よーいさよいこら よーいとさっさ 飲めや歌えの 寿揃い船 一番船には 夢を乗せ 三番船には ど根性 中の船には 度胸を乗せて ジャンジャカしぶきを かき分けて よーいさよいこら よーいとさっさ 明日へ旅立つ 寿祝い船

祝い節

さあさ みなさん 手拍子手拍子 手拍子を 好きな同志が いっしょになった めでためでたの 高砂や これでせがれも 社会人 若い若い 若い門出を 祝っておくれ さあさ みなさん 手拍子手拍子 手拍子を かわいい初孫 あと取り出来た めでためでたの こいのぼり 登れ天まで 元気よく あすのあすの あすの日本を 背負っておくれ さあさ みなさん 手拍子手拍子 手拍子を おじじおばばの 喜の字の祝い めでためでたの 祝い酒 酒は百薬 月の夜 飲んで飲んで 飲んでさわいで 祝っておくれ さあさ みなさん ...

娘に…

幸せに なるんだよ 二人してきっと 涙拭き 笑い顔 絶やさず いいな 母さんと話したか 女ゆえ努め 甘えたか ありがとう さようなら言ったか 寒い北の はずれ町 体こわさず 達者でな みんな想い出 持って行け 写真一枚 あればいい 晩酌に 注がれたし 別れの杯 染みてきたその酒に こぼれし想い 父親(おやじ)とは情けなく 意地っ張り者よ おまえにも分かるだろう 子を持ち老いたら 月の明りに 庭に出て 二人の幸せ 願っておいたよ みんな想い出 持って行け 写真一枚 あればいい 背中より でかかった 赤いランドセル 雨の中 泣いていた 学校帰りよ 夢だった二十年 ありがとう我が娘(こ) 長い旅 疲れたら 時々帰れ ...

男の残雪

百里千里も 一里の道へ 以心伝心 おまえと俺は 苦労くの坂 浮世坂 おまえに楽を させたくて 雪を背負って 足跡残す あぁあぁ 男の残雪 耐えてしのべば いい日もくるさ 急(せ)くな焦るな 目先のことに 見せちゃいけない 舞台裏 不器用なりに 意地もある 肩を並べて 空ふり仰ぐ あぁあぁ 男の残雪 バカじゃできない 利巧(りこう)はやらぬ 人の情けの この架け橋は 一つ越えても また一つ まだ見ぬ山は つづこうと 明日もおまえと いっしょに越える あぁあぁ 男の残雪

女舟

尽くして 尽くして 嫌われた みんな裏目の 深情け 女の愚かさ 笑うよに 鳴いて飛び交う 川千鳥 ひとり流れる 女舟 この手を この手を 振りほどき 消えた夜更けの 後ろ影 思い出ばかりが 重すぎて 沈みそうです 恋の川 しみる せせらぎ 女舟 女の 女の 幸せは しょせん泡沫 水の泡 抱かれりゃ一夜は あたたかい 追って行きたい 向こう岸 涙 積み荷の 女舟