Tag: 竹川美子

汐騒

小指で書きました 今でも好きと 儚いものです 波が消す 砂に沁みこむ 汐騒聴いて どうせあなたは いにしえの… 人と諦(あきら)め むらさきに 小島は暮れる 淋(さみ)しいこの想い 三十一(みそひと)文字に 詠んでもあなたに 届かない 女ごころの 置き場もなくて ひとりしみじみ 沙弥島(しゃみじま)の… 沖をゆく船 なみだ船 私を泣かす 昔のあの頃に 戻して欲しい あなたを知らない 遠い日に 瀬戸の大橋 小雨に濡れて 宿を探して 飛ぶ鴎(とり)の 影も哀しや 万葉の 小島は暮れる 小島は暮れる

女のみれん

岩肌 叩いて 咲いて散る 咲いても 儚い 波の華 どちらが悪いじゃ ないけれど 一緒に未来(あした)が 見たかった… あなた あなた ねぇあなた 呼べばしぐれる 女のみれん 遠くで 海鳴り 何を泣く やつれた こころを えぐるよに 忘れはしないわ 良いことも 一つや二つは くれた人… 好きと 嫌いが ぶつかって 渦を巻きます 女のみれん 波間に 落ちては 舞い上がる 泣き虫 鴎の いじらしさ 諦め切れない 恋ごころ あと追う私に 似てますね… 海の 向こうの 倖せに 虹を掛けたい 女のみれん

ひとり岬宿

一夜(いちや)かぎりの なぐさめと 決めて日暮れの 列車で来たの 岬宿 こころ淋(さび)しい がまんの糸が ちぎれそう もう一度 甘えたい 肩も今はない 漁火(いさりび)見つめ 思い出す ひとり岬宿 好きなお酒を 飲む癖を 真似たお猪口(ちょこ)に 涙がぽろり なみだ酒 呼んでみたって あなたはいない もう幻夢(ゆめ)ね くちもとの ほくろさえ 忘れられないの 海鳴りだけが 騒ぎます ひとり岬宿 強く生きると 誓った胸が くずれそう 優しさを 憎(にく)みたい 好きよ会いたくて 霧笛も遠く 泣いている ひとり岬宿

花咲峠

きょうは雨でも あしたは晴れる 涙が人を 強くする 我慢 辛抱 その先に きっと待ってる 花咲峠 母のあの唄 なつかしく 歌う日の暮れ 泣いて笑って 転んで起きて きょうまで生きて 来たものを ここで挫(くじ)けて どうするの 目指すふたりの 花咲峠 持ちつ持たれつ 一歩ずつ 歩く倖せ 胸の痛みに 心の傷に いつかは春の 風が吹く それを信じて 七曲り きっと着きます 花咲峠 夢と希望の この道に 虹をかけるの

女のいろは坂

ひらがな文字を 這(は)うように 曲がり曲がって かなしみ迷路 この先に… あなたこの先に しあわせ灯りは 見えるでしょうか 切なさに 月が泣く 女のいろは坂 ひと雨ごとに 秋が来て なみだ枯らした 女を泣かす 思い出に… あなた思い出に 今夜は躓(つまづ)き 名前を呼ぶの 逢いたさに 指をかむ 女のいろは坂 あなたの好きな 口紅(べに)を差し 夢で今夜も 逢いたいわたし 運命(さだめ)など… あなた運命など 命にかえても たち切りますと いとしさに 胸が泣く 女のいろは坂

泣きむし酒場

お酒飲むたび あなたが浮かぶ だから今夜も 酔いごころ 花のつぼみの 片情け 惚れたわたしが 馬鹿なのね 命ゆらゆら… 心ほろほろ… 泣きむし酒場 今度いつ来る あなたは来ない 指でかぞえる 待ちぼうけ 惚れた弱みね 恋は恋 泣きはしません 生きられる 命ゆらゆら… 心ほろほろ… 泣きむし酒場 駄目よだめだめ あなたの胸に 好きなお人が きっと居る 酒場通りの とまり木に 花を咲かせる 夢をみる 命ゆらゆら… 心ほろほろ… 泣きむし酒場