Tag: 藤井香愛

夢告鳥

だけど気付いたの 愛の正体は あなたの願い 従うことだと 小さな指輪と優しい言葉で 鳥カゴに閉じ込める 私の涙さえ 可愛いだけが取り柄と思わせた そっとその腕(て)に抱きしめるたび 私じゃないでしょ そばにいる人が 私じゃなくてもいいのなら 夢見る気持ちをめじるしに 飛んで行かせて 空の彼方へ そしてわかったの 甘い言い訳で 未来を見る瞳(め) ふさがれてただけ 孤独は恐いと愚かに信じて いつのまに忘れてた 傷つく自由さえ そよぐ風が 静かに呼びかける 自分らしさを取り戻すのよ あなたじゃないでしょ 愛をくれるのが あなたじゃなくても平気だわ 夢見る力をためしたい 好きにさせてよ これから先は ...

ラストノート

ほのかにまだ部屋に残る あなたのコロンの香り 優しく包まれて 昨夜(ゆうべ)の記憶をたぐる 好きよとその耳元ささやきながら しがみついた胸のぬくもりは 幻じゃないね あなたに愛されたくて待ち続けたの 神様がそんな願い 叶えてくれた あざやかなラストノートは 二人がいたしるし 吐息と素肌をかさねて 何度も確かめあった シーツの海のなか 綺麗なサカナになって 幸せすぎるとなぜ泣きたくなるの 昨日までのつらい片想い まるで嘘みたい あなたの瞳にいまは私が映る 抱きしめて もっとそばで感じていたい ...

一夜桃色

あなたの指がなぞる 夜を縫うように 私は瞳閉じて 運命(ほし)を受け入れる 大人になっても 駆け引きこなれても 恋の始めは心がふるえるね いとしい 苦しい もどかしい 想いが素肌を染めてゆく 桃色 青色 一夜(ひとよ)色 空にきらりきらり 光が射すまで 愛が時間を止めたまま 命を彩るの あなたが私の名をそっと呼ぶたびに 夜露が窓硝子を甘く濡らしてく 何度も傷つき 涙を流しても 性懲りもなくまた恋をするのね せつない 儚い ぎこちない 仕草に気持ちが燃え上がる 桃色 青色 一夜色 夢にとろりとろり この身をゆだねて 愛の絵の具が溶けあって 二人を彩るの ...

名残りの恋

電車を乗り継いで 一人でなぜか来てみたの 肩を寄せあうように あなたと暮らした街に 改札抜けたとき 優しく頬を撫でてゆく 春の風に心 少しだけ揺れた あゝ遠くにじむ思い出たちよ 悲しいだけの涙もいつしか乾き 微笑むたびに 名残りの恋が消えてく あなたを待ちわびた 小さな路地の古本屋 いまは洒落たカフェに 見知らぬ笑顔が集う 二人が生きていた しるしをそっと探すように 歩く街をやがて 夕闇がつつむ ...