Tag: SWALLOW

午睡

夏に見透かされた ささやかな野望 心の隙を縫って 諦め抱かせる 叶わないと悟って 見送ることも 他人に託すことも できず立ち竦む やっとの思いで息を吐く 身体を起こした後部座席 車窓から見た 同じ色の空と 何処まで行くのか 自由の翼 高架下の川に幽霊が出るの 県道10号線 道なりに走って 太平洋沿いの 国道338号線に出る 赤いビートル ...

涙雨

波と空が溶け合って 夜が来る 白くて細い雨が降る ずっと太陽の眩さに 忘れていた あの日の砂を噛んだ味 甘く香るアスファルト 街明かりが沁みる 切れた唇に まだ寒い4月の 宵は青 思わず過去を省みる 間違った 辛かった 涙雨 ふいにした 苦い青春を捨てても、行こう 強がって 強がって 言葉の波に溺れる ...

田舎者

煙草吹かして笑ってる 疲れた魅力の綺麗な君は どんなに変わっても 田舎者の僕を嘲笑わない 東京の知らない地名と君の趣味 安物のヒールでも何かと似合う 同じ服ばかり着て過ごすような 僕とは違う目をした人 子供みたいな笑顔 何度でも見せてほしいよ 悲しいほどの優しさで 育まれた僕らは 誰かにもらう優しさの せいで傷ついてしまう 煙草吹かして笑ってる 疲れた魅力の綺麗な君は どんなに変わっても 田舎者の僕を嘲笑わない ありのままの僕でいいとか 君の人生は君のものだとか ...

嵐の女王

失ったものは数えきれない 追われなければ輝けない 思い出に縋っていたくない 人は今しか歩けない 別に正しくなくたっていいの 雷のように光る瞬間 確かめて選びとって生きたい セントエルモの火 たった一瞬の煌めきを憶えている 昨日の嵐が洗った街は 今日の私が生きていく街 求められなければ続かない 時間が想いを浚って行く 激しい波のなかに消えた 真珠みたいに優しい願い 恋人なんかいなくたって 故郷が愛おしくなくたって 私たち 幸せになれるよ 嵐に吹かれて ...

常葉

勘違いもいいところ 夢と欲は紙一重 誰もが憧れた 本当の自由は 寂しいよ 思い描いたあの場所へ もう辿り着けないと思うんだ 生活を守るため 夢を捨てた鈍色の蝶 かつての自分に贈るうた 心をお金にしたせいで 拙い愛のために消えたよ 行方は、知らない 勘違いもいいところ 夢と欲は紙一重 誰もが憧れた 本当の自由は 寂しいよ ねえ将来の夢は何 何になりたい ...

青く短い春

憧れは、募らせて 叶わないでいたほうが 尊いかもしれないなんて耽っていた さあ夏が兆した 氷雪のように無知で鋭くて それでいて、とても愚かで…輝くの 酸いも甘いも知らぬから 愛を過信するのだ 若さ故の未熟さを 嗚呼どうか殺さないで わざとらしい常識や 恩の着せ合いに、少し 侵されたかもしれない なんて浸っていた 嗚呼夏を迎えた少女は 自由を求めて思いがけずに その歯車を… 狂わせた。 酸いも甘いも知らぬまま 自由になれるものか ...